COLUMN
AIの効果は人への投資で高まる(労働経済白書) BCPは止まる仕事の書き出しから インボイスは影響額を出してから
厚生労働省の労働経済白書、日本商工会議所のBCPの調査、インボイスの経過措置の見直しです。どれも、社長が先に決めておく話です。

この記事のポイント
- AIを入れる前に、社員に何を身につけてほしいかを、仕事の名前と一緒に言葉にします。
- BCPは分厚い計画書からでなく、誰かがいないと止まる仕事の書き出しから始めます。
- 登録していない相手からの仕入れは、控除できる割合が段階的に下がります。話すのは影響額を出してから。
AIを入れる前に、社員に身につけてほしいことを決める
厚生労働省が2026年9月29日に、労働経済白書を公表しました。概要では、AIを使う人のうち、会社の訓練と本人の学び直しの両方がある人は、どちらもない人より、AIで働き方の質が良くなったと答える人が多いと分析しています。
AIの導入効果は、AI関連の人的資本投資によって高まる
中小企業の社長にとって何が変わるか
概要の注には、規模が小さい会社ほど、そもそも人材戦略を定めていない割合が高いとあります。分厚い書類はいりません。ただ、AIを入れる前に「誰に、何を身につけてほしいか」は、ひとことで決めてください。
社員がAIの使い方を学ばないのは、たぶんやる気だけの問題ではありません。白書は、働く人が学び直しをしない理由に、忙しさや費用と並んで、会社から必要なスキルを示されていないことを挙げています。
言うときは、仕事の名前と一緒に。たとえば「見積の文面は、AIで下書きしてから自分で直せるように」と言えば、社員も何を試すかが分かります。
- 最初に試してもらう、前向きな社員を数人決める
- 身につけてほしいことを、仕事の名前と一緒に示す
- 便利だった使い方を見せ合う時間を、仕事の時間の中に取る
数人で始めて、テーマを絞って社員みんなに伝えたくなったら、AI活用研修をご覧ください。
BCPは、止まる仕事の書き出しから
元の記事商工会議所LOBO(早期景気観測)調査 2026年9月調査結果
日本商工会議所が2026年9月30日に公表した早期景気観測(LOBO)調査では、BCP(事業継続計画)の策定状況も聞いています。調査結果によると、回答した会社のうち、すでに策定済みは26.3%。作っていない理由の上位は、策定のノウハウ・スキルがないことと、人の余裕がないことでした。
中小企業の社長にとって何が変わるか
最初から計画書を仕上げようとすると、手が止まりがちです。入口は「誰かがしばらくいないと止まる仕事」の書き出しです。地震や水害だけでなく、担当者の急な入院や退職でも、仕事は止まります。当てはまるものがあれば、その仕事から書き出します。
- 辞めたら止まる仕事が、すぐ思い浮かぶ
- 請求・入金・経理が、ほぼひとりの頭の中にある
- 社長がしばらく連絡を絶つと、決裁や振込が止まる
- 手順を書いたものが無い仕事が、すぐ挙がる
書き出すのは、仕事の名前・いまの担当・代わりにできる人・手順の置き場所です。口座やパスワードは書きません(前の回と同じ)。
期待する支援では、生成AIなどで簡単に策定できるツールが3番目(32.5%)に入りました(調査結果)。書き出した表をAIに渡して、たたき台を作らせるのはありです。ただし、中身は自社で確かめます。
策定済みの会社でも、周知・訓練ができていないのは34.0%でした(調査結果)。作ったら、代わりの人が手順どおりに動けるかを、定期的に試す日を決めておきます。
インボイスの経過措置。仕入れ先と話すのは、影響額を出してから
元の記事令和8年度税制改正特集(インボイス経過措置の見直し等)
国税庁の特集ページによると、免税事業者など、インボイス発行事業者として登録していない相手からの仕入れについて、税額控除の経過措置が見直されました。控除できる割合は、2026年10月1日に8割から7割になり、その後も段階的に下がります。経過措置の期限は、もとの予定より2年延びています。
中小企業の社長にとって何が変わるか
影響の出方は、自社の消費税の申告方法で変わります。簡易課税は、売上の税額にみなし仕入率をかけて控除する計算なので、仕入れ先が登録しているかどうかは控除の額に関わりません(特集ページ)。まず、自社の申告方法を税理士と確かめてください。
そのうえで、登録していない仕入れ先がどこで、どれくらい仕入れているかを出せば、税理士と影響額を計算できます。登録をお願いするかは、影響額が出てから決めます。
登録していない仕入れ先には、個人で仕事を受けてくれている外注先も入ります。話すのは、数字が出て、相手の事情も聞ける段取りができてからです。個人の外注先が登録を機に課税事業者になるなら、条件に合えば、令和9年(2027年)分と令和10年(2028年)分は納める消費税を売上の税額の3割にできます(リーフレット)。
自社が免税事業者から登録して、納める消費税を売上の税額の2割にする特例を使ってきたなら、使えるのは令和8年(2026年)9月30日を含む課税期間までです。個人事業者は3割特例に移れますが、法人には、その次の課税期間から使える特例がありません(リーフレット)。次の期の申告方法を、税理士と決めておきます。
- 自社の申告方法を、税理士と確かめる
- 仕入れ先・外注先の一覧で、登録の有無と仕入れの額を出す
- 仕入れ先と話すのは、影響額が出てから
この記事で紹介した記事
- 「令和8年版 労働経済の分析」を公表します(厚生労働省・2026年9月29日)
- 商工会議所LOBO(早期景気観測)調査 2026年9月調査結果(日本商工会議所・2026年9月30日)
- 令和8年度税制改正特集(インボイス経過措置の見直し等)(国税庁(ページの更新日)・2026年6月30日)
- 令和8年版 労働経済の分析(概要)(厚生労働省・2026年9月29日)
- 業況DIは、相次ぐ値上げに天候不順が響きほぼ横ばい。先行きは、行楽需要が追い風となり、明るい兆し(LOBO調査2026年9月結果)(日本商工会議所・2026年9月30日)
- インボイス制度に関する令和8年度税制改正について(リーフレット)(国税庁(ファイルの更新日)・2026年5月7日)